ハリネズミのふらつき症候群(WHS)に関する論文

こんばんは。
以前から、ハリネズミに関する論文も読んでみたいなぁと思っていたのですが、やっと1本読めたので少しだけご紹介したいと思います。
「Wobbly Hedgehog Syndrome in African Pygmy Hedgehogs」という論文で、2006年にJournal of Exotic Pet Medicine に掲載されたもののようです。

以下、内容を私なりにまとめたものです。


この研究は、2000-2005年の間で、北アメリカのペットのアフリカハリネズミのうちWHSと診断された676匹(全数の約10%)で実施された。
そのうち、45症例は解剖が行われ、実際は脳腫瘍など別の病気であった5症例を除いた40症例(オス18匹、メス22匹)で病理学的調査を行なった。


臨床症状
・ごく初期ー丸まれなくなる
・初期ー筋運動の調律欠如(ふらつき)
*初期症状は一時的に良くなったり悪くなったりする
*初期徴候が起こるのは平均で18.5ヶ月(ただし、発症例は1〜36ヶ月と幅広い)
・数ヶ月後ー傾斜、眼球突出、震え、自傷、体温維持不可
*運動失調の開始から9ヶ月で60%が、15ヶ月で90%が完全に動けなくなった
*70%で麻痺は後肢から前肢へ上がっていった


肉眼的所見
・平均体重は200-300gと筋萎縮によりひどく痩せていた
・手足を引きずることで先端部の磨耗が見られるものもいた
・肝臓ーわずかに肥大、色が薄くなる
・腎臓ー表面がザラザラして凹凸あり
・その他の臓器で肉眼的所見は認められない


病理学的所見
初期ー大脳、小脳、脳幹から脊髄に至るまでの白質の空胞変性と骨格筋の筋原性萎縮
その後ーミエリンの欠損、神経変性、脊髄前角の下位運動ニューロンの変性と欠損
*およそ20%で軽度から重度の肝リピドーシスがあった。これもハリネズミ特有の疾患の可能性がある。


治療
・補充療法(ビタミンE、ビタミンB、セレンなど)
・経口プレドニゾロン
ホメオパシーのレメディー
・鍼療法
理学療法
・食事療法
以上の方法がとられるが、これで良くなったように見えても、そもそもWHS寛解と再発を繰り返す疾患のため効果があるとは証明できない。Avonox療法も試みられたが、治療開始後12週で酷い衰弱状態となる。
現在、病気の進行を止める治療法はない。


中枢神経系の白質損傷を起こす原因疾患
・後天性疾患(自己免疫疾患や感染症)
・遺伝性疾患

感染性因子が見つかったというエビデンスはないが、WHSの家族性傾向は病気の遺伝的原因を除外出来ない。
感染性因子の垂直感染が原因かもしれないが、もしそうなら病原体の潜伏期は病気の徴候が現れ始めるのに3年かかるというのは非常に長い。


上記以外で、気になった内容は、
WHSの発症に性差があるとのエビデンスはない
・北アメリカはWHSの症状が出たらほとんどの飼い主が安楽殺を選ぶ
WHSのような報告は1990年代からある
・ヨーロッパハリネズミでも報告されている
・開始の年齢と進行速度に相互関係はない
・食事療法、治療法、支持療法と進行速度との相互関係はない
・今回解剖されたうちの2症例では臨床症状がなく、家族性を疑われて解剖された(結果病理学的所見がみられた)



以下、私の見解です。

1番最初の症状が丸まれなくなることだというのは初耳でした。
遺伝性である可能性が高いですが、例えばエキノコックスやクロイツフェルトヤコブ病のような感染性の疾患である可能性も否定できないのだなぁと思いました。寄生虫となると気になるのはコオロギやミルワームですね。それと、栄養面で足りない栄養素がある可能性も考えねばなりません。
また他の論文も読んでみようと思います。


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